肝臓の働き【人体に欠かせない 5つの役割】

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前回、肝臓の解剖や測定値について解説しました
今回は、肝臓が人体で行っている5つの働きを勉強していきます
肝臓は右の肋骨(ろっこつ)に守られるようにして存在するヒトの体で最も大きい臓器で、人体の2%もの重さを持ち、体重50kgの人では約1kgもの質量をしています
「沈黙の臓器」とも呼ばれる肝臓の働きを知ることで、皆さんの健康意識が高まり、体をいたわって健やかな生活を送るお手伝いができれば幸いです

肝臓には「動脈」と「静脈」に加えて「門脈(もんみゃく)」という血管が通ります
胃腸や膵臓、脾臓といった主な臓器からの血液は、門脈を通って肝臓に集まり、心臓へとつながります

肝臓は再生能力が非常に高い臓器で、肝機能が正常であれば、全体の75~80%切り取られても自らを修復しながら働き、半年後には元の大きさに回復します
肝移植が可能なのは,肝臓は切除しても再生する唯一の臓器だからです

代謝

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栄養素をからだが利用しやすい形に分解・合成するはたらきを代謝といいます
人間の体では、食べ物から摂取した栄養素をそのまま使用することができません
そこで、肝臓が各栄養素を体内で使用できる形に変換し、血液中に送リ出したり、貯蔵しています
代謝の種類は3種類存在します

糖質代謝

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ごはん、パンなどに含まれる糖質は、ブドウ糖に分解された後、小腸→門脈→肝臓の順に運ばれます
ブドウ糖は肝臓内でグリコーゲンに変えられて貯蔵され、必要に応じてグリコーゲンから再びぶどう糖に変換されて血液中に放出されます

この流れによって、組織にエネルギーが供給されています

たんぱく質代謝

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肉や魚に含まれているたんぱく質は、小腸でアミノ酸に分解されてから吸収され、肝臓に運ばれます
肝臓では、このアミノ酸からさまざまなたんぱく質が毎日約50g合成されています
使われないアミノ酸は分解され、「窒素酸化物→アンモニア→尿素」となり、無毒化され尿で排泄されます

肝臓はこのたんぱく質合成によって、人体にたいせつな働きをする血漿たんぱく質をつくり出し、血液中に放出しています
肝臓のたんぱく合成能が低下すると、凝固因子の低下によって血が止まりにくくなります

脂質代謝

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脂肪は胆汁と膵臓から分泌される膵酵素によって遊離脂肪酸とグリセロールに分解され、そのあと小腸で吸収されます
そして小腸粘膜で再び中性脂肪に合成され、リンパ管を経て体中も巡ったのち、肝臓にとりこまれます
肝臓では、脂肪酸の合成、分解のほか、コレステロールやリン脂質の合成が行なわれています

*血液中の脂質はリポたんぱくと結合していますが、
 このリポたんぱくも肝臓でつくられます

アルコールの飲み過ぎや、糖尿病、肥満などが原因でおこる脂肪肝は、肝臓に中性脂肪が多く蓄積した状態をいいます

貯蔵

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肝臓の役割の一つに、脳に必要なブドウ糖の供給があります
脳に絶え間なく供給するために、小腸から吸収されたブドウ糖は、肝臓内でグリコーゲンの形で蓄えられ、ブドウ糖不足に陥ると、それを使って脳に供給します
また、肝臓はアミノ酸や中性脂肪も貯蔵します

解毒

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肝臓は、いろいろな物質を毒性の少ない水溶性物質に変え、尿中や胆汁中に排泄します
そのため、肝臓では酸化・還元、加水分解、抱合などのさまざまな化学反応が行なわれています

  • 酸化・還元:各物質に対し行う
  • 加水分解:アルコールなどを分解する反応
  • 抱合  :薬物を代謝する反応

胆汁の生成

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肝臓はコレステロールと胆汁酸から「胆汁」を生成します
胆汁は弱アルカリ性の黄色い分泌液で、分泌量は1日に1ℓほど、胆嚢で濃縮されて茶色に変化します
また、肝臓で濾過された古くなった赤血球や微量金属などの老廃物を流す役割を担っています
(古くなった赤血球は肝臓で破壊され、再利用される)
胆汁は、脂肪の消化吸収を助ける消化液でもあります
コレステロールを消費して胆汁を作るので、コレステロール値を抑える役割もしています
胆汁は肝臓の下についている小さな袋、「胆嚢」に貯蓄され、脂肪分が体内に入ると、胆管を通って十二指腸と小腸に分泌され、便となって一緒に排泄されます

胆嚢が何らかの原因で炎症を起こすことを「急性胆嚢炎」といいます
急性胆嚢を発症したら、手術で胆嚢を摘出することがあります
手術は、開腹手術と腹腔鏡手術に2種類があり、回復が速い腹腔鏡がおすすめです

胆汁を十二指腸に送る管を胆管と言います
胆管が胆石などで詰まった際は、内視鏡で胆石を取り除く手技があります
そのような手技を総称して以下のようにいいます
内視鏡的逆行性胆管膵管造影
【ERCP(Endoscopic retrograde cholangiopancreatography)】

アンモニアを無毒化(代謝)

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肝臓は体内で作られた有毒物質であるアンモニアを解毒(代謝)してくれます
アンモニアは腸管内の細菌によって、食物中のたんぱく質から作られ、門脈を通って肝臓に運ばれます
このアンモニアは、肝臓のたんぱく質代謝機能によって尿素(無害)に変えられ、尿中に排泄されます

アンモニアは人体にとって有害な物質で、肝硬変などで肝機能が低下すると、血液中のアンモニア量が増えて脳が障害されます
この状態を肝性脳症と言い、意識障害を引き起こします

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