土壌の栄養素が過剰供給or不足した時の症状を勉強していきます
前回は3大要素についてだったので、今回は中量要素についての記事です
カルシウム(Ca)
カルシウムを含む肥料を総称して石灰質肥料といい、畑にまく石灰などに含まれる肥料成分です
主な効果として
- 根の生育を促進する働き
- 植物体内でできる過剰な老廃物(有機酸)を中和
- 土壌酸度の調整
- 細胞膜を丈夫にして病害虫に対する抵抗力をつける(ペクチンという多糖類と結合)
土壌中にある程度含まれていますが、植物が吸収できない形態になっている場合もあり、植物を育てる際にカルシウム肥料が必要な場合もあります
過剰症
カルシウムの過剰施用により土壌が強アルカリになり、pHが高くなると
- マンガン
- 鉄
- 亜鉛
- ホウ素
などの吸収が阻害され欠乏症があらわれます
欠乏症
- 生長の盛んな新芽や根の生育が悪くなる
- トマト果実では「尻腐れ症」
- はくさいでは新芽の先が枯れる「芯腐れ症」があらわれる
カルシウムは植物体内での移動がほとんどありませんので、新芽に症状があらわれやすいのが特徴です
またカルシウム欠乏症は単に土壌中のカルシウムが不足している場合だけでなく、土壌の酸性化、乾燥、チッ素過多による肥料バランスの崩れなどが原因で根からのカルシウム吸収が抑制される場合にも発生しやすくなります
ですからカルシウム欠乏症の予防には、これらの原因を取り除くことはもちろん大切ですが、「トマトの尻腐れ予防スプレー」のような葉面散布剤で茎葉や実に直接カルシウムを吸収させることも有効な手段のひとつです
マグネシウム(Mg)
マグネシウムは金属元素ですが、肥料では「苦土=くど」といい、苦土石灰などに含まれる成分です
- 植物の光合成に必要な葉の「葉緑素」を作る
- リン酸の移動を助ける
- 大豆などでは種に蓄える油脂の合成を助ける
過剰症
土壌中のカルシウムに対するマグネシウムの割合が高くなると生育障害があらわれます
またマグネシウムが過剰な土壌では
- マンガン
- 亜鉛
- ホウ素
などの吸収が阻害され、これら微量要素の欠乏症が誘発されます
欠乏症
古い葉や果実のなっている付近の葉で、葉脈の間や葉の縁が黄色くなったり(ひどい場合は葉脈を残し全体的に黄色化する)、イチゴやバラでは葉脈の間に不規則な黒い斑点ができ、生育不良となります
硫黄(S)
植物にとっての硫黄は植物体を構成するいくつかのタンパク質の構成成分のひとつです
例えばニンニクやカラシなどの香り成分に多く含まれています
硫黄(S)といえば、独特の臭いを想像するかもしれませんが、硫黄自体は無臭です硫黄は空気や水と反応することで硫化水素などの硫黄化合物になり、これが一般的にいわれる「硫黄の臭い」の正体です
過剰症
植物自体の過剰症状は特にあらわれませんが、極端に過剰となると土壌が酸性化し、チッ素、リン酸、カリ、カルシウム、マグネシウムなどの吸収が阻害されます。
欠乏症
全体的に葉の色が薄くなり、生育不良となります
特に古い葉は黄色くなり、チッ素欠乏に似た症状をあらわします
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